ササキ様:
「おっ! お前がインタビュアーか、タカシ!
このオレ様のすばらしさを全世界にアピールする、いい仕事を頼むぞ!」
タカシ:
「はあ…がんばります」
佐伯:
「どないしたんや、浮かない顔して? よし、わての爆笑ギャグでやる気を奮いたたせて…」
「い、いや、ギャグはいいから!
(…実はさ、募集期間は長かったのに、佐々木さんへの質問が全然来てないんだよね)」
「(何やて? そら佐々木さん、鬼のように機嫌悪なるで~?)」
「おうおう、何こそこそしてんだ? 写真撮影はどうした! 段取り悪いぞ───!」
「はいはいはい、写真撮影ですねー!(これでしばらくごまかせる)。写真担当は万永君で…」
「わてがその助手や───!
さあさあプチくん(編集部注:佐伯独特の万永選手に対する呼び名)、カメラを構えて!」
「………万永がカメラに潰されてるぞ」
「わ───! プチくんしっかり、傷は浅いで!」
「やっぱり万永君に撮影は無理なんじゃ…」
「何を言うとんのや、こんなときのためにわてがおるんや!
さあプチくん、わてがカメラを固定するから、その間にシャッターを押すんや!」
「それって意味ないんじゃあ…」
「いや~、プチくんがどうしても佐々木さんのためになんかしたいんだ、言うてな~」
「なんだと万永! かわいいこと言うじゃねえかー!(バキッ)」
「うわー!万永君が佐々木さんの愛情表現に10メートルも吹っ飛ばされてニス塗りのテーブルに激突!」
「これがホントのラッカー(落下)や───!!」
「……………」(編注:しらけた空気)
「……………」(編注:しらけた空気/同情気味)
「ああ~! またハズしてもうた! さがさないで───!」
(編注:いたたまれず万永を連れて逃亡する佐伯)
「あっ、佐伯! …ど、どうしよう、いきなり一人に!」
「もう撮影も終わったことだし、別に困ることねえだろ! さあさあ、オレ様へのインタビューを始めるがいいぞ! 時間内に答え切れないほどの質問が来てるだろう、全国の、いや全世界のファンたちから!」
「え…ええまあ…じゃ、じゃあ最初の質問は荒川区の山田太郎さんから『佐々木さんの……フォークボールはすごいですね。どうやったら投げられるようになるのですか』?」
「フォークの投げ方か? まずはフォークダンスの達人になることだな! そうして身に付いたリズム感が、キレのいいフォークボールを生み出すのさ!」
「佐々木さん…ちょっとホントっぽく聞こえるような嘘はやめてくださいよ。それにその話、昔盛田を騙した時と大差ないじゃないですか!」(編注:佐々木は昔、盛田にフォークボールの投げ方を尋ねられ、「料理用フォークを投げ続ける」と嘘をついたことがある)
「うるせえ、必殺技は自分で編み出せ! はい、次の質問!」
「つっ…次? え~っと…じゃあ、横須賀市の山田花子さんから…」
「…さっきから、今時珍しいほどひねりのない名前の奴ばっかだな」
「(ギクッ)…い、いや、山田はハンドルネームで本名綾小路麗子さんから、『佐々木さんの…………」
「何止まってんだ、タカシ? 読めない漢字があるのか?
よしよし、オレ様自ら代わりに読んでやろう! そのハガキを貸せ!」
「でえええ!? い、いやこれはインタビュアーの務めですから!
…えっ? 何?」(編注:ここでササキ様への質問が届いた!)
「ほうほう、番組中も飛び入りで質問が届くとは、さすがはオレ様の特集だけあるな!
気に入った、それを読め!」
「(助かった…)あ、はい、では…大阪のK.Mさんからの質問です。
『ササキ様の好きな星座を教えて下さい』…?」
「あん? そんなもん、見もしねえな」
「ええと…まだ続きが…『今は遠く離れてササキ様の勇姿を直接見る機会もめっきり減り、寂しさで夜も眠れない日々を過ごしています。ですがそんな切ない夜も、ササキ様と同じ星を眺めれば耐えることができそうな気がします』…」
「おお、それはいい考えだ! その夢いっぱいのハガキはどこの乙女からだ!」
「う~ん…なんかこの筆跡、見覚えがあるような…あ、下の方にプリクラが。………!!」
「なんだタカシ、何隠してんだ?」
「い…っ、いえ、佐々木さんの好みのタイプじゃないですよ! 全然見るほどじゃないですよ!!」
「隠されると見たくなんじゃねえか…ん? 大阪のK.M…? プリクラ…?」
「わ───!」
「……………盛田か───!!」
「さ、佐々木さん、落ち着いて! さっきの武者小路さんのハガキを読み直しますから!」
「綾小路じゃなかったのか?」
「うっ、そ、そうですそれです」
「な~んかあやしいな~。おい、ちょっと見せろ」
「……………」(編注:ひっそり逃亡する斎藤)
「……………………白紙じゃねーか───!!
…ん?コラ待て、オレ様を一人にするなー!!」
編注:インタビュアーが逃亡した上、取材対象が暴れて会場を破壊
したため、インタビューは中断されました。誠に申し訳ございません。