無抵抗の蟲ケラをいたぶるよりも、細い牙で歯向かう痴れ者を、
ゆっくりとひねり潰す方がずっと愉快ですからね
敵の成長を楽しんでいるかのような台詞はこの他にも、「楽しみだよ…少しは歯ごたえが出てきたようだ」等がある。歯ごたえ云々のみであれば強者と戦うことに快楽を見出しているかのようだが微妙に違う。これらの台詞は相手がどんなに成長しようと自分に勝つことは出来ないという確信から出ているのである。紅麗の尊大なほどの自信と残忍さを窺わせる。
兄…だと? 汚らわしい。分際というものをわきまえよ
紅麗に対し、嫌味で「アニキ」と発言した烈火に返した言葉。分際をわきまえろというのも凄い言い様だ。紅麗は、自分と烈火には天と地以上の開きがあると考えているのだろう。紅麗が人間なら烈火はミドリムシ程度といったところか。あれは動物と植物双方の生命活動を行えるので少しは高級だと思うが。
私なら5人まとめて一秒で灰にできるよ
東北最大の格闘集団「空(くう)」に烈火が苦戦した際の感想。「茶番だね」とまで言った。紅麗は上記の台詞でなぶり殺しを好むかのようなことを言っている割に、実際の戦闘においては一瞬で片をつけてしまう場合が多い。ある程度の強さを持った相手以外には手間をかけないのかもしれない。いずれにしろ、悪趣味で傲慢なことには変わりないようだ。
強さこそが麗(うるは)のルール
要は、強ければ何をしても許されるということらしい。紅麗の暗殺部隊「麗」には、勝つために手段を選ばない人間が多く存在した。その割に紅麗自身は結構手段を選んで華麗な戦いを演出するのは、形振り構わず戦わなくても勝てる、という自信から来る行動と思われる。
この紅麗に裏を作りし事を恥じ…懺悔し…そして死ね
「麗」において、紅麗に隠れて紅麗の養父・森光蘭の密命を遂行していた裏切り者に対して。彼は紅麗の部下により、身体を真っ二つにされて殺されてしまった。自分で手を下す手間をかけるのも腹立たしいということなのだろうか。それにしても…恥じて懺悔したところでやはり殺されるのか。
花は嫌いだ。すぐに散る…弱いからだ
上記の「強さこそ~」に対応する。およそ弱き者は紅麗にとって何の価値もない。おそらく花も蝶も木も草も鳥も雪も嫌いなのだろう。例外的に流れる雲は自由なので好きなようだ。
徹底した残虐性は、強さでもあるのだよ。
恐怖だ。強さと恐怖こそが、人の心を支配できる
まるで恐怖政治を行う政治家のような台詞だ。そういえば紅麗は感情を剥き出しにすると、途端に街頭演説のように長々と喋り出す。政治家になる場合やはり党名は「麗」、選挙カーには黒地に炎をあしらうのだろう。確実にトップ落選であろう。
詭弁だね。他人の為に戦う心が、強い?!(中略)
甘ったれた信念で死ぬ者は、所詮クズよ!そんな事で強くなれてたまるものか!
人を踏みにじりのし上がった者こそ覇者!!(後略)
街頭演説のごとく喋り出した一例。あまりに長いので一部割愛した。この時は烈火に「演説家」と返された。サルのわりにいい突っ込みだ。紅麗は他人を守るために戦う、という考えを極度に嫌う。守るべき人を守れなかった事が強く影響していると思われる。一人で弱者の屍を踏み越えて得る強さこそが本物と考えているようだ。
今の一撃…わざと外したな!? その傲慢な余裕、死をもって償わせてやろう!!
紅麗との対決で、炎を使った攻撃を外した烈火に対しての台詞。
自分のことは完全に棚に上げている。前述したが紅麗にとっての烈火はミドリムシなので(編集部注:特に確証があるわけではありません)、微生物に余裕ぶられるのがもの凄く頭にきたのだろう。確かに偉そうな微生物は相当腹立たしい存在に違いない。
ミディアム、レア…ウェルダン―――どの焼き方が好みだ?
紅麗の炎で手足を焼き切られ、倒れた敵への言葉。どう答えても焼かれることには変わりがないのか。この時の敵は頭が悪かったので、ステーキはこんがり焼いた方が好みなどと言ってウェルダン状態にされてしまった。レアだったらどうにかなったかもしれないものを、愚かの極みと言わざるを得ない。
烈火……今は貴様の命あることを許してやろう。邪魔だ。消え去れ
別の標的と戦おうとしていた折、近くにいた烈火に向かって吐かれた台詞。この頃すでに紅麗は一度烈火に敗北しているのだが、相も変わらぬ尊大な態度である。どうやら微生物扱いは変わらなかったようだ。筆者としてはシダ植物あたりまでの格上げはあっても罰は当たらないと思うのだが、やはり積年の恨みが邪魔してそうそう素直にはなれないということか。