interviewer:Kaizoh Katsu

勝改蔵:
「インタビュー担当の改蔵です。今日はよろしく、博士!
(編注:改蔵はすずが天才科学者だと勝手に思い込んでいるのだ)」

彩園すず:
「部室でインタビューっていうのもお手軽でいいわね。でも、今実験中だから手短にね」

「今度は何の実験ですか? 我々科特部が、敵に対抗するための新たな装備ですか??」
「(ふっ)実はそうなの。改蔵くんにも無関係じゃあないから…放課後、説明するわ」

坪内地丹:
「ちょっと、部長! またそうやって改蔵くんを乗せて、どういうつもりなんですか~!」

「改蔵くんのバージョンアップも考えているのよね」
「おお、バージョンアップですか!!」
「部長…」
「バージョンアップとなると、やはり新たな称号が付くんですよね?
V3(ブイスリー)とかRX(アールエックス)とか!」

「そうね…じゃあ、改蔵100(ひゃく)っていうのはどうかしら?」
「……ひゃく……(ず~ん)」
「前の『まるは』よりかなりカッコイイと思うんだけどな(編注:本編中ですずが改蔵につけました)。
今、そこのサ●トリーの100%ジュースの箱見て思いついたの」
「部長~! いい加減にして下さいよ! そもそも部長が最初に改蔵くんの思い込みを肯定しなきゃ、ボクはまともに学校生活を送れたのに!!」
「あら、刺激のある日々でいいじゃない。みんな好んで刺激を求めるって時代に、贅沢ねえ」
「ボクはこんな刺激なんていらないです!」

「でもね地丹君、人間が一番耐えられないものって何か知ってる? 『退屈』よ」
「そうなんですか? オレ、平和ならその方がいいかなあと思ってました! 何しろ天才塾生ばかりか、時には地球外生命体やら、謎の怪人やらが襲って来て、戦いの日々を余儀なくされていますからね!」
「天才塾生以外は改蔵くんの思い込みじゃないか!」
「動物にはもともと闘争本能が備わっているからね、あまり平穏だと刺激を欲しがるのよ。ずっと家の中で育った猫が、突然飼い主に牙を剥く事例が、最近よくあるでしょ?(編注:事実です)あれと同じことよ」
「なるほど! じゃあオレは幸せな方なんですね!」
「うう…(だめだ、この二人が揃っていては勝ち目はない…せめて余計な被害を受けないように、小さくなっていよう…)」

「おっと、つい博士の講義に夢中になって、本題を忘れるところでした…
インタビューというからには、質問をしなくては!」

「講義をしたつもりはないけど」
「では質問します! たびたびフランスっぽいとかミラノっぽいとか言われている博士ですが(編注:主に天才塾生たちに言われています)、実際はどこの出身なのですか?」
「とらうま町よ」
「……………地元?(が~ん)」
「めちゃめちゃ地元よ」
「…博士、ここはちょっと答えにヒネリをきかせてもらった方が」
「そう? じゃあ、ルクセンブルク出身ということで…」
「ルクセンブルクですか! いやあ、そう言われてみればその外ハネはルクセンブルクっぽい!!」
「ヒネリっていうか、それウソじゃん!!」
「いいのよ地丹君、それでみんなが楽しいなら」
「さすが日夜世界平和の為に戦い続けている博士、言うことが違いますね」
「人々が楽しんでくれる事が、私にとっての幸福でもあるの」

「すばらしい! では、博士の将来の夢はなんですか?」
「世界征服よ
「今度は言わずともボケをかましてくれるとは、博士はインタビュアーにとっては理想的ですね! オレ、インタビュー初めてですけど、気が楽ですよ!」
「(…いや、今のは絶対本気だった…)」
「では博士のスリーサイズは!」
「却下

「じゃあ、時間も迫ってるんで、次が最後の質問てことで。博士が科特部部室に謎の空間を作っている、という噂があるんですが、そこで何をしているんですか?」
「…………」
「…ん?」
「わっ、な、何? この煙??」
「…ふふ…その噂は、忘れてちょうだい…」
「何だか…急に…眠く…」
「か、改蔵くん!」

 

「はっ! こ、ここは…どこ?」
「気がついたか、下っぱ。どうやらここは異世界のようだ」
「ええっ! そ、そんな非常識な!」
「オレ達を助けてくれた老婆に、脱出方法を聞いた。オレ達はこれから、現実世界に戻るためにあそこに見える『もちはだの塔』を目指し(ブツッ)」


編注:インタビュアーとカメラマンが行方不明となり、マイクの電波が
途絶えたため、インタビューは中断されました。申し訳ございません。

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