今月の作品紹介

「かってに改蔵」 久米田康司 著
週刊少年サンデー掲載(1998年21-22号~)
「面白いギャグ漫画で、絵も可愛かったりするが人に堂々と薦めるのは勇気がいる」

というのも、この作品がかなりの下ネタ率の高さを誇るからである(53%増・当社比)。とりわけ男の子が女の子にこれを薦めたりした場合、相当ヤバイ事態になること必至、薦めたい場合は匿名で手紙と1巻をロッカーにしのばせるか、自主制作映画にサブリミナルを使用する以外何一つ道はない(サブリミナルは法律で禁止されています)というほどなのである。しかし実は、、ギャグと見せつつ時折勉強にもなってしまう、なかなか侮れない漫画なのだ(例:セーラー服の襟の本来の用途・カモノハシの生態など)。おまけに「フルCG」という興味深い要素もあったりする(白黒含む)ので、CGで漫画を描きたい人にとって一見の価値はあろう。そして、何よりも特筆すべきは作者の姿勢である。ここまで自己をある意味犠牲にしてギャグを描いている人に、筆者はお目にかかったことがない。やはりこのくらいの姿勢がなくては、ギャグの真髄を極めることは不可能なのだろう。おそるべしギャグ道。当編集部では見習うことは出来ない。

 

&キャラ紹介


勝 改蔵(かつ かいぞう)

本作品の主人公。元々は天才的頭脳の持ち主だったが、7歳の時、幼なじみの名取羽美にジャングルジムから蹴落とされて頭を打ち、思い込みの激しいアホになる。高校で、ちょっとした事故から、天才科学者・彩園すず博士(実際には科学部の部長。天才ではあるかもしれない)に「改造人間にされた」と思い込んだ彼は、当時の科学部を科学特捜部(科特部)と改名。町内の平和を守るため、日夜戦い続ける事に。敵は主に、かつて改蔵が通っていた「天才塾」(スカウトによって才能ある子供が集められ、その教育方針は門外不出)塾生。天才塾は、アホになった改蔵が薬品調合を間違えて爆破してしまったのだ。カリキュラム途中で投げ出された天才たちは、皆中途半端な天才(言ってみれば変態)となり、改蔵に恨みをもって復讐を目論む。しかし何故か改蔵自身が仕返しされることは少なく、害は周りに及ぶ(主に坪内地丹)。特技は「救いの手をさしのべておいて自らその手をふりほどくこと」「さんざん持ち上げておいて突き落とすこと」など人間性が疑われるもの多数。


本作品のヒロイン。科特部部員。改蔵をかつてジャングルジムから落とした諸悪の根源。本人は普通の女子高生のつもりだが、微妙になおかつ決定的に普通の女子高生とズレている(馬券買ったり(一点買い)、徹マンしたり、いつも3色弁当(しかもでんぶとしらすと青のりでフランス国旗弁当とか)だったり)ため、人々は彼女を避けて通る(だが本人は改蔵と幼なじみであるせいだと信じて疑わない)。性格に問題があることは、幼い頃唯一仲が良かった改蔵をも虐待した事実からもうかがわれる。友達いない歴17年(改蔵は友達に含まれないらしい)。携帯の番号登録は、とりあえずクラス全員分の番号を入れてスペースを埋めてある。また、年賀状は毎年店の宣伝しか来ないので、人からもらうと感激する。一見まともだがキレると時々あやしげな人形のまたを裂いたり、実の弟の背中を裂いたり、高野山で魂が除霊術を学んで来たりする。別名「殺人バックアタッカー」。


名取 羽美(なとり うみ)


坪内 地丹(つぼうち ちたん)

科特部部員。改蔵に「下っぱ」と認識されて以来、改蔵・羽美・すず・天才塾生らが巻き起こす事件のあらゆる被害をほぼ一身に受けることに(82%くらい)。爆破されたり、霊に連れ去られたりしてたびたび死んでいるのだが、次の回になると何事もなかったかのように復活している。どれ程に前回のオチが無かったことにされているかと言うと、ドラえもんの好物がかつてはお餅だったことくらい以下略。「悪魔の鉄道ゾンビ」との別名は、この性質と、彼が鉄道マニアであることを的確に表現した秀逸なアダ名と言えよう。実はスポーツ万能だったり、顔が可愛かったり、友達(鉄道関係)多かったりと、意外性のかたまりのような人物。しかし、それらの特質が彼の立場の向上に繋がることは永遠にないであろう。

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